そして私も颯も中学生になると、喧嘩や冒険なんて全然、しなくなって。



「ほのか。また赤点なの?
ちゃんとしなよね、おばさんに心配かけるなよ」

「……っ、うるさい。颯には関係ないでしょ」

「教えてやろうか?
一回2000円な」



「お隣の廉くんはほんとすごいわね、イケメンなのになんでも出来て。

昔はあんなに泣き虫だったのにね。

ほのか、あんたも見習いなさいよ、幼馴染でしょう」

「……」

母親にまで比べられる始末。



颯はいつの間にか大人になって、勉強も運動も見た目も、平凡な私はなに一つ敵わなくなって。

昔は口で私に勝てなかったくせに、平気で私をからかってくるようになって。

私はいつの間にか、颯に守られる側になってしまった。

もう、あの頃の颯も、私もいないのに。

その変化のスピードが早すぎて、私はまだ、そのことを受け入れられていないのかもしれない。





そして最後にはいつも、颯との最後の記憶、


あの痛すぎる冬の放課後のことを今でも思い出すのだ。