真昼は赤くなって俯く。

「……此処に来てから、休みになるたび、遠くの街に行きたくなった。

 此処が古い狭い町で、息苦しくなるからじゃない。

 お前とこうして、手をつないで歩いてみたかったから。

 誰にも見られない場所で、二人で――」

 千紘がこちらを見下ろす気配を感じて、顔を上げた。

「それが俺の野望だ……」

 そう言って、軽く腰をかがめ、そっとキスしてきた。

 が、学校ですよ……と思いながらも、真昼は逃げなかった。