……などと自分に言い聞かせている間に、夏が来てしまった――。

 結婚当初は、一週間、遅くとも、一ヶ月以内にはどうにかなるだろうと思っていたのに。

 せっかちなはずの俺が何故、こんなことにっ?

 (のろ)い真昼の呪いにかかったに違いないっ!

 夏の到来にようやく我に返った千紘は本気で焦りはじめていた。