男の子が何も言わないのをいい事に私は話を続けた。



「……馬鹿だよ…アイツはほんとに大馬鹿。私なんて放っとけばいいのに。喧嘩してたのに何で庇うかなぁ〜。それで自分が死ぬとかほんと馬鹿」



泣いてるのを悟られないようにとわざと明るく話す。




事故の影響で私は幼馴染の顔を忘れてしまった。


記憶は残っているけど、肝心の顔には靄がかかってしまう。



思い出そうとアルバムを見るけど何故か幼馴染の顔だけ見えない。



医者いわく『脳が拒絶しているから見えなくなっているのかも知れない』らしい…。




「……何で私なんかを庇ったのよ……」


「好きだからだよ」



今まで黙って私の話を聞いてくれていた男の子が話し出す。



「そんなの大切だったからに決まってるだろ」



男の子はピョンとブランコから飛び降りた。


さっきまでとはまるで別人な様な口調になる男の子に私は驚きを隠せない。