「あー……そうだな。我慢せずに、たくさん泣くといい」


あきらかに動揺している様子の葉山先輩がやんわりと私を引き寄せる。

それに胸を高鳴らせたのも、つかの間――。

葉山先輩は私の背中をぽんぽんと叩いてくれたのだけれど、その手つきはぎこちなく、身体も緊張からか強張っていた。

完璧な人だと思っていた葉山先輩の不器用な慰め方に、私は思わずぷっと吹きだしてしまう。


「先輩って、女の子のこと慰めるのは下手ですね」

「笑うな」


不服そうで、それでいて少し困ったような複雑な表情。

見たことのない顔ばかり見せる葉山先輩が、そっと私から離れる。


「ふふっ、すみません」


それでもなお、笑い続ける私に葉山先輩はまたため息をついた。

それから、私の頭をわしゃわしゃと撫でてくる。