翌朝、日が差し込む頃に自然と目覚めると朝食の準備を始める。
彼女に食べてもらうと思うと、普段とは違った気合が入る。
自分一人なら手抜きも多いが、彼女の為ならばと朝からポーチドエッグ、グリーンサラダ、野菜たっぷりのコンソメスープ、トーストと準備して、コーヒーメーカーをセットした頃和室から声が上がった。

「え?ここどこ?!」

その可愛らしい声に微笑みを浮かべつつ俺は和室に顔を出した。

「おはよう、平野さん。ここは俺の家。昨日飲んで寝ちゃったんだよ。起こそうとしたんだけどダメだったんで家に運んだんだ」

俺の顔を見て、昨夜を思い出したのかまたもやアワアワとしだした彼女はパタパタと手を動かしたあと落ち着くと頭を下げて言った。

「たいへんご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした!」

それは布団の上で見事な土下座だった。
そんなことは望んでいない俺は、慌てて彼女の肩を掴んで顔を上げさせる。

「迷惑なんて思ってなから。むしろご褒美的な……。えっと、俺が飲めないって聞いてたのに飲ませたのが悪いから気にしないで、ね?」

俺の顔を見ると、少し潤んだ瞳で見上げる彼女と視線が合うと、俺は優しく微笑んだ。

「シャワー浴びる? それともご飯先に食べる? メイクは昨日落としておいたけど」

俺の言葉にハッとして自分顔に触れて驚いて、その後赤面する彼女はとっても可愛い。

「なんか、物凄く迷惑かけてますよね。本当にすみません。でも、よくそういうこと気づきますね」