ケータイ小説 野いちご

運命だけを信じてる


「私の片思いの相手、小牧さんに教えなきゃ良かったです」


余計な告白をしてしまった。
過去の話までしてしまったけれど、ただ小牧さんに聞いて欲しかっただけだ。私の気持ちを知ってもらい、それでも小牧さんの隣りにいる資格があるか問いたかっただけなのに。


「そんなことねぇよ。これで、課長はフリーだぞ。今のうちに告白しろよ」


「今更、告白なんて…」


「はあ?いい加減、その片思いに決着つけろよ。このままじゃおまえ、一生、引きずるぞ」


逢瀬先輩の言う通りだって分かってる。


やっと私に告白するチャンスが巡ってきた。

婚約破棄されたばかりだけど、恋人がいる時よりはずっといいタイミングだと思う。


でも踏ん切りがつかない。


臆病になっているのか、
小牧さんに悪いと思っているからなのか、よく分からないけど。とりあえずそんな気分にならないのだ。


「よし、善は急げって言うしな!今日3人で飲みに行こう!俺は途中で消えるから、そしたら告白しろ!」


「え?待って、突然、無理です!」


内容が内容だけに小声で話していたが、驚きのあまり大きな声が出た。


シー、と逢瀬先輩が唇に手を当てた。




「小牧の気持ち、無駄にするな」


「……」


分かってる。
この状況は小牧さんが与えてくれた私へのチャンスだ。


「店は後でメールする。ご馳走さん」


そう言って飲み終えたマグカップを私に押し付けると、給湯室を出て行った。


逢瀬先輩は相談には乗ってくれるけれど、決して甘やかさない。それが彼のスタンスだ。

そ、それでも!今夜なんて急すぎません?
心の準備が!



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