オーナーがウィンクしながら言った。
そのウィンクは意味ありげで

別に気になるって深い意味は
ねーのにと俺は苦笑いした。

俺は礼を言い、
店の出入り口から外へ出る。

夏手前なのに
外は若干冷えた空気が
漂っている。

リリーが裏口から現れるのに
そう時間はかからなかった。

白いセーラーと赤のスカート。

それは地元の不良校、
N高校の制服だ。


「やっぱり、学生なのか…」


制服の上に緑のカーディガンを
羽織った彼女は
足早に夜の町へ歩いて行く。

声をかけるタイミングを
掴み損ねた俺は、
そのあとを追った。