「一緒だったもう一人の男子は初めて見たけど……ねぇ、これって早乙女さんだよね? どういうことか説明してくれる?」
右側に居る子が、自分の携帯の画面をバーンと見せてきた。
それは、電車内で話をしてる私とマル、そしてトラくんと和真が写った写真だった。
真ん中に居る子は、偉そうに腕を組みながら 私に冷たい視線を送っている。
左側の子は無言だったけど、私を睨みつけているのがわかった。
全員、もう笑顔はない。
……なんか、昔おばあちゃんが見てた水○黄門のドラマみたいだな。
なんてアホみたいなことを思いつつ、発した声はひどく冷静だった。
というか、苛立ったものになってしまった。
「これって盗撮だよね? 普通に犯罪なんですが」
「……っ……うるさいっ!! さっさと答えてよっ!!」
「……たまたま一緒の電車になった。 それだけです」
「それだけなわけないでしょっ!! 親しそうに喋ってたの聞いてたんだからっ!! マルに「みぃ」って呼ばれてたでしょっ!?」
……盗撮だけじゃなくて、私たちの会話も盗み聞いてたのか。
まぁ…これはマルが悪い。
大勢の人が居る場所で 私のことを「みぃ」と呼んだマルが圧倒的に悪い。
まったくもう…だから人前で呼ばれるのは嫌だったのに……。