こんなにも冷たい雨に打たれてるのに、佐倉にギュッと強く抱きしめられてる自分のカラダは、どんどん熱をもっていく。


「ぅっ、う……うぅ」


絶対泣かないって思ってたのに。
1度溢れだしたら止まらない。

泣きじゃくる私に、佐倉が抱きしめていた腕を離すから、なぜか不安になって縋るようにその手を握る。


「……バカ、風邪ひくからちょっと待ってろ」



そんな私に、どこまでも優しい声を出す佐倉は、そのまま自分のブレザーを脱ぐと私を覆うように頭からかけた。


「これ、さ、くら……っ、濡れちゃ」


嗚咽で上手く喋れない私に、簡単に「いいよ」なんて言う。全然、よくないのに。


女性恐怖症なんでしょ?
もっと、嫌がって欲しい。


友達になろうって、散々佐倉に踏み込んだのは私の方なのに。

こうして佐倉に優しくされると私なんか突き放して欲しいって思う。


私って、本当に身勝手でワガママ。


「な、んでこんなに、っ……優しく、するの?」

「……俺たち、友達なんだろ?」

「っ、」


真っ直ぐ目を見て告げられた言葉は、私をもっともっと泣かせるには十分で。