「円くんもトラくんも、ほんっとうに良い人だよね。 友達になれてよかったよ」

「和真のことを女の子だと思ってた時雨くんは、かなり可哀想だったけどね」

「あはは、それはマジでごめんなさいだったなぁ。 でも円くん、今は姉ちゃんのことが好きなんじゃない?」


「……え、私っ……!?」



な、何故そこで私が登場するのっ……!?



「ちょっ…時雨くんが私を好きとかあり得ないしっ……!!」

「なんで?」

「なんで、って……とにかくっ、絶対にあり得ないからねっ……!!」


「あのさ、姉ちゃんがトイレに行ってる時にチラッと聞いたんだけど、円くん女子と出かけるの初めてなんだって。 今までは女子と出かけたいとすら思ってなかったらしいよ」



その言葉に驚き、戸惑う。

時雨くんはいつも、男女問わずにたくさんの人に囲まれて過ごしてる。

だから放課後はみんなで一緒に出かけたり、休みの日もワイワイ楽しくやってるのかと思ってた。


だけど…本当は違う……?



「で、でも…だからって私のことを好きかどうかなんてわかんないじゃん。 ていうか、私を女子だと思ってないから誘ったのかもしれないし……」

「女子の後ろ姿が撮りたい。 って言ってここに来たんだから、普通に女子扱いされてるでしょ」

「……それは、写真の話を出来るのが私だけだったからだよ」


「うん、だからさ、姉ちゃんはその時点でじゅうぶん特別な存在じゃん?」