「知ってるよぉ。
家に居場所がないって、ちょっと前まで家に住んでた」

「さっき見かけたけど、かっこいいね」

「え、友梨ちゃん、将君を見たの?
そっか、今日は夜の勤務なんだ。
…わたしね、将君が好きなんだぁ」

杏色は笑顔を浮かべた。

翌日、あたしは将と、段ボールを外の倉庫に出していた。

「いい天気っすね~。
こんないい天気だと、仕事サボってお出掛けしたくなりますね」

将は目を細めながら、太陽を見た。
その横顔はとても眩しくて…、どうしてだろう、涙が流れた。

あたしの涙に気づくと、将は慌てだした。

「さっきのは冗談ですから、忘れて下さい」

「ううん、嫌って意味ではないの。
なんか目にゴミでも入ったかな」

あたしが目を擦ろうとすると、

「ダメっすよ」

あたしの手を、将が掴む。