蒼空は…高1の時にあって、話してくれるまで時間がかかったけど話してみると面白い奴で。
絡んでみるとからかいやすくて。
いざと言う時には頼りになるひょろっちい奴。
だけど、1番温かい心を持っていると思う。
こんな私にも優しくしてくれて、笑顔を向けていてくれる。
蒼空は私にとって大事な人、であることは違いない。
でもそれは友達として。
本当に大事なのは…
…誰だろう。
「…今、だから、言うけど、李那は凄いやつだよ。」
私が?
どうして…
「愛想のなかった俺に絡んできてくれたし、李那のおかげで友達も増えた。
…けど、この気持ちは理解出来ないと思うんだ。」
…あぁ。
そういうことか。
続きの言葉、分かる。
中学の時によく言われたから。
「だって李那は“誰のことも好きじゃない”から…」
…よく言われたよ。
裕くんのことが好きなはずなのに周りには『誰のことも好きじゃない』って。
自分でも何を言われてるのか分からなかったのに。
まさかまた言われるなんて思ってなかった…
今の私は裕くんが好きなはずなのに。
それは蒼空だって分かってるはずなのに。
どうしてなの?
こんなに好きなのになんで?
「俺は李那が好きだ。だから、辛さ、悲しさ…孤独さがよく分かる。」
…辛さは分かる。
報われない恋をして振られた時の悲しさも知ってる。
…孤独さはよく分からない。
「好きなのに感じる孤独さは分からないでしょ?」
「…」
そうだね。
言われても全くわからない。
孤独さって何なのだろう。
「好きだけど好きじゃない時。」
「…」
「そういうのを思ってしまったことがあるなら…」
…あぁ。そういう事ね。
よく分かる。
私は確かに裕くんが好きだ。
だけどたまに無性にどうでも良くなる時がある。
本人にも言ったことないし、他人にも言ったことは無いけど、こういう事なのかな?
「思ってしまうなら李那は“誰のことも好きじゃない”ってことになる。」
…誰のことも好きじゃない。
うん、分かるよ。
実際1人の方が向いてるし、笑顔引っつけてても疲れる。
おかしいな、私は裕くんが好きで、仕方ないはずなのに。
どうしてなんだろう。
いつから、私はこんなに歪んでしまっていたんだろう。
「俺から見た李那、だから、あんまり気にしない方がいいけどな。」
「ううん。いいの。当たってるから。」
確かに。
私は誰のことも好きじゃないんだと思う。
…思う、じゃなくてそうなんだけど。
好きなのに好きじゃない、上辺だけの気持ち。
【如月李那side END】