「それは、、嫌だ。」



「うん、嫌だよな。だからなるべく薬で進行を抑えたい。梨央には辛い思いさせてるかもしれないけど、これが最善の道なんだよ。」



この現状が最善なのか…



どうしても納得したくない気持ちがむくむくと心の中で沸き上がってくるけれど、それを颯くんにぶつけたところで事態は改善しないだろう。



なんか、悔しい…



やり場のない気持ちが、目から一筋の涙となって零れ落ちる。



泣くことしかできない自分に余計に腹が立った。



「泣かない、泣かない。」



ぐっと力が加わり、身体が颯くんの方へと引き寄せられる。



私はこうやっていつまでも颯くんに頼るしかないのかな…



颯くんの腕の中は暖かくて、ほんのりと消毒液の香りがした。