「華澄ちゃん!」

「どうしたのです?」

「見かけたから、だけど?」

「はあ、用もないのですね」

「う、まあ、そうだ、けど」

華澄ちゃんの黒い髪は緩く巻かれていて、頭には黒くて、青い薔薇がついた小さな帽子を付けている。服は黒を基調としたワンピース。白いふわふわのレースが可愛い。私よりも身長は低く、言い方は少し刺がある。

「あ、いや、その……。いいでしょう!話し相手になってあげましょう!」

いきなり言い淀むと声を大きく出した。

「いいの!?じゃあ、何を話す?」

「何がいいでしょう……?」

「あ、〈吸血鬼〉とか?」

「〈吸血鬼〉……?いるでしょうけども。こんな奇々怪々な能力もありますし」

「なんかない?じょうほー」

「いいですよ。教えてあげます」