ねねさんは、「ふむふむ」と言いながらメモを取るのに集中している。

説明を続けようとした俺より先に、衣装の本を凪沙と見ていた恋雪が「そういえば!」と声を上げる。

「平安時代の894年まで遣唐使を派遣してたんだっけ。東大寺の宝物庫・正倉院にシルクロードを通って日本に持ち帰った物が納められたんだっけ」

「うん。菅原道真の提案で廃止されたんだ。奈良時代の話に戻るけど、凪沙!お前は東大寺の大仏は知ってるか?」

「そりゃあ知ってるよ〜」

凪沙が頰を膨らませる。

「それは752年に完成したんだ。仏教の力で国を守ろうと考えた聖武天皇の命令で建てられたんだ。聖武天皇は、他にも国分寺や国分尼寺、大仏をまつる東大寺を造らせたんだ」

「うわぁ〜。お金かかりそうだね」

凪沙とねねさんが顔をしかめる。

「あと、奈良時代には「万葉集」や「古事記」、「日本書紀」などの歴史書が作られたんだ。あとは全国の国ごとに、自然や産物などをまとめた「風土記」も作られたよ」

「そんな昔に作られたんだね」

恋雪が目を見開く。

「あっ!私、思い出したことがあるよ!」

凪沙が手をあげる。

「農民は、租・調・庸の税金を納めなきゃいけなかった!」

歴史が苦手な凪沙にしては珍しい。今度は俺が驚く番だった。