掴んだ部分がシワになってしまうほど手に力が入っていると、ようやくキスが終わった。


「泣いてる」
「だって……雅がっ……」

「泣くほどのキスをした覚えないけどな」


なんて笑いながら、雅はそっとこぼれ落ちそうになる私の涙を拭ってくれる。

まだ息が乱れ、必死で整えていると、背中に手をまわされて今度はぎゅっと抱きしめられた。


「あんま俺を放置するなよ」
「そ、そんなつもりは……」

「ほったらかしにされたら拗ねる、面倒くさい人間なんで」

「拗ねる……?」


じゃあ雅は拗ねていたって言うの?
でも、どうして?

それに放置した覚えはない。



「わかってないなんて、余計にダメだな」
「ご、ごめん……」


覚えはないけれど、素直に謝って雅に抱きつく。



「そうやってかわいいことしても、無駄だから」
「そ、そんなつもりは……」
「まだまだ足りない」


足りないって……キスのこと?
そう考えたら恥ずかしくて、また顔が熱くなってしまう。