「だ、だって、何でついてくんのよ!今日は私、先に行こうと思ってるんだから!空気読んでよ!!」


「はぁ〜?空気読むも何も、俺も同じ方向だっつの。つか、お前足遅いからすぐ追いつくし。それで先行ってるつもり?」



厶……ムッカツクなぁ……。


どうせ私はあんたみたいに足が長くないですよ!!


フン!とジロから顔を背け、私はまた先を歩き出す。



「何をそんなカリカリしてんだよ?」


「話しかけないで!!」


「おーい。美恋ちゃーん」


「……」



本当に何でコイツは、こんなにも空気が読めないんだろう。


そもそも、誰のせいでこんなにイラついてると思ってるんだ!


あームカツク!こんなヤツ、もう無視だ無視!!



……と、思ったのに。



「みーこっ」


「ひゃ!!」



突然後からジロに抱きしめられ、一瞬にして体が硬直した。


ジロは私の腰に腕を回し、私の肩に顎を乗せている。



……ナンダコノタイセイハ。



いくら相手はジロといえど、さすがにこの体勢はよろしくない。


みるみるうちに顔に熱が集まってくる。



「ふ。大人しくなったな。俺の話、聞く気になった?」


「……っ」



耳元で喋るなーーー!!