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「Black Cat……」


同僚の麻衣子と食堂でお昼をしている千歩は、ある夜の出来事を思い出してもう一度彼の通り名を呟いた。


「そうかもしれない……」


千歩は深く頷いて納得する。

ただ、麻衣子や他の刑事たちが言う理由とは全く違うのだが。


「でも、そういうクールでちょっと近寄りがたいところが素敵なんだとさ。警視庁の若い子たちの人気を独り占めよ、彼」


噂話を口にする麻衣子は実に楽しそう。千歩の悩みの種をサラッと口にしてくれる。


「あっ!もうこんな時間!昼からパトロールなんだからちゃっちゃとお昼すませよう」


麻衣子は自身の腕時計で時刻を確認し、残りのサンドイッチをコンソメスープで流し込む。

千歩も同じようにして食事を終えた。

刑事部のBlack Catはプライベートも猫全開でした……なんて、きっと誰も知らない。

これは私だけの秘密だ。



No.01 Black Catの話 fin