鞄を肩に下げた柳瀬くんは自分のクラスに寄ってからここへ来たようで、もう帰る準備は完了。




「ったくホントだよ。話散らかりすぎんだよ」




そう答えながら帰り支度を始める匠。



その様子をなんとなく見ていたらふいに視線があがって、目が合う。



…あー……、



何を言っていいのかもわからないし「お疲れ様」とだけ短く言った。



もちろんそれに対しての返事はない。


今日も通常運転の王様。




王様の彼女を辞めてからも、こうして私たちは集まった時に顔を合わせ、一緒にいる。



同じクラスだし、姿は確認できる。



だけど、匠は変わった。


前みたいにつっかかってこないし、私はいないように扱われる。



匠の私に対する興味の度合いが完全に薄れてる模様。




「あ、久河さんもお疲れ様〜」




教室に入ってきた彼女に千紘が声をかけると、小さく微笑んで返される。



そっか、委員会だから…匠と一緒だったんだ。