「で、慶が頼るのは私なわけだ?」


「真央様には本当に感謝しかございません」
私が頼ったのは幼馴染の山野真央だった


「まぁ構わないけどさ
ただ、なんでこうなったのかだけ教えて」
私は真央に説明した

和田くんと売り言葉に買い言葉で
一夜限りの関係をもってしまったこと

和田くんから話があると言われたが
避けていること


「…ちゃんと彼と話をしないでいいの?」


「うん、時間が解決してくれると思う
私たちはあんなことする関係じゃないし」


「ふぅん…まぁ逃げられるだけ逃げたら?
あなた仕事以外はとことん不器用だから」
説明したらそう鼻で笑いつつも
私をここに置いてくれるという真央


「本当に頭が上がりません」


「で、いつまでここにいるつもり?」


「彼があと3週間で出張だから
可能ならそのくらいまで…」
少し驚いた顔をする真央


「思ったより長いね…1週間くらいかと思ったよ」


「私も…なんなら今日も本当は真央の家に
来る予定じゃなかったんだけど…
退勤してこっそり家に帰ろうと思ったら
アパートの前にいてさ…」


「なるほど、それで突然私の家に来たと
連絡もなく」
呆れ気味の真央…そりゃそうだろう


「ごめんってば…今日は携帯も家に忘れて…」


「置いてきたんじゃなくて?」
うっ、鋭い…


「すみません」
座っていたソファの肘置きにうなだれる


「まぁ、ここにいる間は慶がこの部屋の
掃除してくれるならいつまでいてもいいよ」


「ありがとう友よっ
掃除なんてお安い御用だしなんなら他もやる」


「はいはい
まぁ同僚の彼とも仲直りしなさいよ
あんまりほっとくと戻れなくなるからね」


「わかったよ、本当にありがとう」



私はこの真央の言葉を軽く流してしまった

未来の歯車は徐々に
ゆっくりと狂い始めていた