今さっきまで普通だった理玖くん。

感じよく笑ったりしてたし、本当に何ともなかった。

それなのに……今は無表情。

壁際に追いやって、手までついて、まるで逃がしませんって体勢を取られている。

私はこの距離に限界が近付いてきてるけど、理玖くんの方はちっとも照れたりなんかしてない。

むしろ、その無表情な顔には余裕すらうかがえる。


――バクッ……バクッ!


鼓動が激しく音を立てる。

見つめられて恥ずかしいくせに、目を逸らすことがなぜかできない。

それどころか、まばたきすらできなくなっていた。

じっと見つめ合った状態に耐えていると、理玖くんの表情が微妙に変化。

口端が微かにつり上がった。


「学校……そんなに楽しみ?」