「さくら!待って。」

手を直樹に捕まれた。
「やめて。放して!」
「放さない!」

私は直樹を見た。
「最近、俺のこと避けてるでしょ。気づいてるよ。」

「…。」
「何で避けてるか言わない限り、放さないから。」



「…っ直樹は、私のことを迷惑に思っているのは知ってる。」

「…えっ?」

「秋原さんに聞いた。」
「ちが…」


「違わない!」
私でもびっくりするほど大きな声が出た。

止められなかった。

「直樹が私のことを迷惑に思っているなら、私は…もう、直樹と関わらない!もう、嫌なの!」

…あっ…私は何いってしまったんだろ。


「もう、わかった。」
直樹が沈黙を破った。
恐ろしいほどゾッとする声で…。
「俺たち、絶交だな。さよなら。」

直樹がゆっくりと出ていく。
もう、二度とこの背中を見ることはないのかな?



涙が溢れて止まらない。


「うっ、…うっ…」



どうしてこんなに悲しいんだろう。


空は雨が降っていた…