『蓮!彼女秘書にしたって?よかったな』

フランスのルイからだった。

『あぁ、ルイが見つけてくれたからね。秘書にしない訳にはいかないだろ?完璧だよ』

ルイは、高瀬の事をネイティヴじゃないかって思うくらいの語学力だと言っていた。
そこまで言わせてしまう程の、実力があるとは…

高瀬は、今まで出会った人とは違う何かを持っている。
気になって仕方なかった。


コンコン

「ん、はい」

「今いいか?」

「匠か、どうした?」

「俺じゃない方がよかったか?」

意味深な笑みを向けてきた。

「っ、んな訳ないだろっ」

慌てて否定する俺に、構わず匠は続けた。

「蓮、彼女の事気になってるのか?」

「か、彼女って?」

「とぼけるなよ。高瀬君の事だよ」

ストレートで匠は聞いてきた。
気になってる、がどういう意味で聞いているのか…

男と…

「男として、だよ。蓮」

「え?」

「図星か?気になってるんだろ?」

「そうなのか?俺には分からないんだ。確かに興味はあるよ、凄く惹かれるものはあるんだ…」

「それを男として、気になってるって言うんだよ」

匠は、はぁーっと溜息をついた。

男として、か。

じゃ、やっぱりパーティに無理矢理同行させるのは、そういう事だからなのか?