「関節的に接触を図ろうとしたのはなぜ?」
「あんたからは、本当に疑問がたくさん出てくるな。だって和佳菜、お前が警戒するだろう?お前はとても用心深そうだ。違う言い方をすれば、警戒心が強い。それで避けられるのは困る」
「でも、これで最後よ。なぜ、あたしなの」
「それも、明日かなー?言えることはここではかぎられるんでね」
ここでは?
学校で言えないことがあるのだろうか?
色々と疑問に思ったけれども、どうせ教えてくれないことが分かっている。
はあ、とまたため息をついて。
「じゃあ、もういいわ。あたし帰るんで、さよなら」
スクールバッグを肩にかけると、今度こそ逃げるように教室を出た。
あいつが追いかけて来ないのを確認してからゆっくりと深呼吸をした。
「どうして、あたしはこうもああいう人間に引っかかるんだろう」
あたしが彼らのような人間を呼んでるつもりはない。
この学校だって、不良がいないのを前提にママが選んでくれたのだ。
もう、あんな目に合わないようにと。
普通の女子高生の生活を送れるようにと。
それでも、また彼らのような人たちと出逢ってしまった。
「あたしはこういう運命なのかしら」
ため息をついても、心の不安は消えてくれなかった。