「あ、そーなん。ほい、これみんなに差し入れなー、いくでー!
はい、みっちょん!北斗!りゅーせい!りんりん!しんたろー!・・・」
 
 そう言って杏は同級生にむかってポイポイと缶ジュースを投げている。

 一足先にイチゴミルクを味わっていた水帆はその様子をぼーっと眺めた。
 
 適当に投げているように見えるが、ジュースは友達の手元に正確に収まっていく。
 
 大したコントロールである。
 
 配り終えた杏は、よっこらしょっ、とおばさんくさいセリフを吐きながら椅子に腰掛けると、コーヒーを啜った。

 すると、

「おい、なんで俺だけコーンポタージュやねん。」