プロポーズ…

私には縁のないフレーズ。
それを、昨日されたとか…

なんなの。

「それで、答えは?」

「もちろん、Yesで答えたわよ」

と、言いながら顔を両手で隠した瑠璃の手を、私は見逃さなかった。

バシッ

「こ、これ!指輪!Tiffanyじゃない!」

「昨日もらったの。婚約指輪?かな」

クラクラしてきた。
幸せ頂点にいる姉を見て…

「でね、涼香。今度、ある会社開催のパーティに出ないといけなくなってね…」

「あーもういいよ、分かった」

私は瑠璃に、分かったと手を出してそれ以上言わなくても大丈夫と態度で示した。

その日に、怜の両親が帰ってくるって事か。両親が海外在住でめったに会えないって事ね。ま、瑠璃も怜も休み取れないわな、自由に。
だから、私か…

「事務所に言えばいいじゃん、出れないって」

「言ったんだけど、無理だったのよ。絶対出てくれ!って」

「…でも!……っ」

「ね、涼香。こんな事は言いたくないんだけど…」

「何よ…」

「如月商事の仕事、断ったんだよ。それでも私のお願いは…聞けない?」

「っ…脅迫?」

「違うよ!でも、私も無理聞いたんだ…よ」

そうよね。
無理聞いてもらったよね…

仕方ないか…

「天城さんに、絶対離れないように言っておいてよ」

「え?…いいの?」

瑠璃は諦めてたみたいだけど、私も姉の結婚ぐらい祝いたい。
いつも、無理聞いてもらってるのは私だし。

これぐらい大丈夫。
うん、大丈夫…

「いつなの?そのパーティって」

「来週の土曜日なの。アスランCo.って会社の30周年記念パーティ」