「……あのさ、夏葵」

「ん?」

「俺、夏葵のこと許さないって言ったけどアレ撤回するよ。本当は心のどこかでもう許してたんだ。純粋にただひたむきに咲都を想ってる夏葵のこと」


そういうと、健吾は優しい笑顔を私に向けた。

本当に……私の周りの人たちは
こんなに優しさに溢れた人ばかりなんだろう。


「ありがとう……」


私がそういうと健吾は左右に首を振りながら、地面に生えていた雑草を抜いて、私が持っていたビニール袋の中に入れた。

こうやって、健吾と誤解が解けたのはいいけど残念ながら私にはもうあまり時間が残っていない。
もうすぐ、終わりが来る。もうすぐ、大好きな人たちのいない生活に戻らないといけない。

だけど、あと少しだけ。

あと少しでいいから夢を見させていて───。