神社の南側の入口は一番手前にあって、しばらく歩くと大きな鳥居が見えてくる。そこには人だかりができていて、どうやらみんな待ち合わせ場所として使っているようだ。
水野君の姿を探したけど、それらしき人は見当たらない。
まだ待ち合わせの十分前だもんね。
もうすぐくるかな。
でも、私が見つけられないだけで、先にきてたらどうしよう。
なんて思いながら巾着の中からスマホを取り出す。画面を開いてみたけどなんの連絡もきていない。
ということは、まだだよね?
一応〝着いたよ、待ってるね!〟とだけメッセージを送った。だけど既読がつかないので、スマホを巾着の中にしまって待つことに。
邪魔にならない適当な空いたスペースに身を寄せて、ふぅと一息つく。
辺りはオレンジ色に染まって、太陽がだんだん沈んでくる。お祭りの赤い提灯がところどころで揺らめいて、雰囲気が出ていた。
刻一刻と待ち合わせの時間が迫り、緊張が最高に高まった時だった。
「待たせたな」
正面からくると思ってキョロキョロしていた私は、いきなり背後から声をかけられたことにビックリした。
慌てて振り返ると、そこには私服姿の水野君が。
「ビ、ビックリしたぁ」
水野君は濃紺のジーンズを腰ではいて、上はワンポイントの刺繍が入ったグレーのポロシャツ。足元はスニーカーを履いていた。
初めて見る私服姿は新鮮で、学校以外の場所ということがなんだか照れくさい。