「そんなことないけど……ありがとう!
それじゃあ、行ってくるね」
「行ってらっしゃい」
「楽しんでね」
今日も優しく手を振って見送ってくれる二人。
そんな二人の想いにジリジリと胸が熱くなる。
毎日、満たされていて楽しい日々を送れているのはすべてを受け止めて、一緒に暮らしてくれている二人のおかげ。
本当に言葉では表せないほど、感謝している。
「夏葵。早かったな」
「健吾こそ」
集合場所の神社の前に行くとそこにはもう健吾が来ていた。
カジュアルな私服は長身で爽やかな健吾にとてもよく似合っている。
「咲都は琴音を迎えに行くってさ」
「そうなんだ」
そりゃあ、そうだよね。
彼女の特権ってやつだ。
私にはどうやっても手に入れられない権利。
「まあ、落ち込むなって。
それより浴衣似合ってるよ」
「えっ?ほんと?嬉しい」
お世辞でもそう言ってもらえると嬉しい。
顔がよくないから浴衣だけ浮いていたらどうしようと不安に思っていたから。