もしかしたら、あたしの知らない海斗になってるかもしれない。
英語ペラペラで、ガールフレンドなんか居て。
うん?
ガールフレンドって彼女?
そしたら、あたしいらないじゃん!
それは、それは困る……。
「…ほ。まーほ!真帆真帆真帆」
「ぎゃん⁉︎な、何?」
「な、何?じゃないわ!ほんとあんた海斗君帰ってくるってなったらダメになるんだね。一生帰ってこなくていいかなー」
「そ、それはなし!冗談でもやめて!」
「じゃあ、人の話くらいちゃんと聞きなさい。ほら、次情報でしょ?移動だよ。早く行かないと、近野ちゃん怒っちゃうよ」
「近野ちゃん、怒っても怖くないじゃん」
可愛い近野ちゃんは、実は男の先生。
でも、あたしより身長ちっちゃくてちょこまか動いてほんと可愛い。
怒るのも上手じゃなくて、みんな情報はダラダラなんだ。
「でも、あと5分だよ。なんでまだ弁当箱広げてるの。いくら近野ちゃんでも、これは怒られるよ」
たしかに!
まずい。
いつの間にか結衣は、情報の教科書を持ってる。
弁当なんて、とっくの前に終わったらしい。
「ごめんー!先行ってて!」
「仕方ない、まっててあげよう」
「…結衣、情報嫌いだったよね。コンピュータ苦手だった気がする。まさか、さぼ…」
「もう、そんなこというなら置いていくからね!」
「ええ、待ってー」
海斗が。
いる、とか。
いらないとか。
すっかり忘れて、あたしは急いで弁当をしまった。