…さてと。





チラリと前の席へと視線を向けると、女の子たちに囲まれ、楽しそうに話している恭哉君の姿が見える。





恭哉君にバレる前に、一1人で帰っちゃおっと。





始めから、一緒に帰るつもりなかったし。





手早くカバンに荷物を詰め込み、帰り支度をする。





「よしっ」





きっとまだ恭哉君は、何にもしていないだろうし、今のうちにこっそりと…





カバンを手に持ち、席を立とうとする。





しかし、私の思い通りにいかないのが恭哉君だ。





「帰るぞ」





そんな悪魔な声が聞こえ、振り返ると、いつの間にか帰り支度を済ませた恭哉君が立っていたのだ。