そこに居たのはさっき案内してくれた天使だった。
「…カリン様…先程の神様のお話についてですが…」
「いや!今は1人にして!聞きたくない!」
「聞いてください!」
彼女は声を荒げた。私はビックリしてしまった。
「神様がさっき言ったことは…嘘なんです…」
は?なにそれ?なんなのほんとに…
「ここ、天界は十五年前一日だけ悪魔に乗っ取られてしまいました。その前までは今の神様のお母様が神様だったのですが、悪魔により、殺されてしまいました。」
それって…
「悪魔はカリン様を目につけて不幸になるように呪いをかけたのです。今の神様のお父様は悪魔を退治する時に…亡くなりました…」
彼女は泣きながら全てを語った。私の不幸は悪魔によるものだと…。
「なんで…何であいつは自己犠牲なんか…」
「それは、貴方がいつか悪魔と対峙しても、動揺しないように…今は分からなくてもいつか、この意味がわかる日がきっと来ます。そのためにあのお方は…」
なにそれ…じゃぁ…私のために?でも、もしかすると騙されてるのかもしれない。何度も騙されてきた。たった十五年の人生の中で。
「ごめん…出てって…」
「カリン様…どうか…」
「出てってってば!!」
声が響いた…
「一人にさせて…」
「っ…失礼しました…」


分かってる。私を助けてくれたあの子は悪意なんかなかった。さっきの天使も。でもっ…信じていいのか分からない…
「うっ…うぁ…」
どうすれば…蘇る記憶。
「カリンって言うの?かわいい名前ね!私はね!神様だよ!」
あの時から…
「大丈夫!神様がそばに居るから!」
あぁ…天使のような笑顔…
「うぅっ…あ、うわぁぁぁ」
どうして…なんで…なんで死んでから優しさに包まれるの?
意味が分かる時っていつ?信じていいの?ねぇ、誰か教えて…
「また明日」








「か…神様…」
「…余計なことを…」
「でも!…貴方だけが…悪者になる必要なんて…」

…彼女は僕のことを思ってやってくれたのであろう…しかし…カリンを悩ませるはめに…
「今は1人にしてくれ…」
「っ…すみません…失礼します…。」




「おはようございます。カリン様。」
天使のような笑顔で神様がご飯を持ってきてくれた。
「…ねぇ、名前は?」
「わたくしの名前ですか?そんなものありませんよ 」
「そんなの呼びづらいじゃない…」
「好きにお呼びください」
私は彼女が持ってきてくれたご飯を食べた。






涙が出てきた。




「うっ、うぁ…」
美味しい。あったかい。やさしい。あの時と同じだ。
「うっ、うっ、」
ガツガツ
私は一所懸命にご飯を頬張った。彼女はその様子を黙って暖かい目で見つめていた。
「ご、ごちそうさまっ…」
しばらく沈黙が続いた。
最初に沈黙を破ったのは神様だった。
「では、わたくしはこれで…」
すかさずさえぎった。
「決めた。」
「?」
「オンジュ」
私は微笑んで
「あんたの名前。オンジュ。」
「わたくしの…名前…ですか?」
オンジュ。フランス語で天使という意味だ。
「何よ。気に入らないの?」
彼女はハッとして
「いえ!すみません…嬉しくて…」
「え、な、泣いてるの?」
すみません。そう言いながら彼女は泣き続けた。
「私の事幸福にしてよ。前世の記憶ありで。」
互いに泣きはらしたかおで。
「もちろん!」
私に優しくしてくれたのはオンジュだけ。だから、たとえオンジュが悪だったとしても。私は彼女を信じる。そう決めた。

























この決断は天国か、地獄か。