ここしかない、と思っていたけどそう思っていたのは私だけでみんなは私のことなんていらなかったんだよ。


本当に……バカだなぁ…


ポタリ、ポタリ、と大粒の涙がアスファルトに丸いシミを作る。


「っ…」


幸い、田舎町だから人通りは少なく誰もいない。


こんな醜い姿を人様に見させられない。


誰かが来る前にこの涙を止めなきゃ。


そう思い、左手で両目を抑えて憎らしいほど綺麗な淡い空の方に顔を上げた。


こんなことをして、涙が止まるわけではない。


でも、下を向いているよりも上を向いているだけで少しは気持ちが前を向くと思ったから。


「ねぇ、咲都〜!」


「ん?」


「あのストラップ可愛くない!?」


「そーだな」


「お揃いで買おうよ!」


そんなふたりの会話だけ聞こえてきた。


姿を見なくたって分かる。


サキと琴音だ。声だけで分かるよ。
誰より大切な人たちだったんだもん。


だけど、ここにいることがバレたらめんどくさいことになりそうだ。


そう思った私は無理やり涙を止めて、なんとなく覚えている道を歩いておばあちゃんの家まで帰った。


──あの頃の楽しかった日々は、もう戻ってこない。


そう、思い知らされた一日だった。