「あら!」



家に入ろうとして玄関のドアに手をかけた途端に後ろから聞こえた大きな声に驚いて振り向く。



「おばさん!」



あいつの、お母さんがいた。


昔からの知り合いだから普通におばさんって呼んでる。



「久しぶりねぇ、綺麗になって~
高校どう?」


「楽しいよ!」



おばさんはこうやって会ったらニコニコ褒めてくれるから、たとえお世辞だったとしても嬉しい。



「あ、真人(マサト)に聞いたわよ。
今年も一緒に花火大会行くんですってね」



真人って言うのは、幼馴染の名前。
黒沢(クロサワ) 真人。



「うん!」


「今年は浴衣着るの?」


「着ようかなって思ってるよ~」


「そっか~
じゃあ真人にも浴衣着せちゃおっかな~」



え!!



「ほんと!?」


「あ、嬉しいのね~?うふふ、そうよねぇ、嬉しいわよねぇ」



おばさんは含みのある微笑みをしながらそう言った。

絶対に気づかれてる.....。



「あ、いや、別にそんな...」


「うふふ、気にしないで、ちゃんと着せとくから」


「あ、ありがとうございます...」



顔、めちゃくちゃ熱い。絶対、真っ赤になってるよね...。



私ってもしかしたら、相当わかりやすいのかもしれない。