「ここまでくれば…」
香穂と二人で逃げてきたのは、三階の音楽室。なるべく楽器が多く置いてあるところへ身を隠した。
「今の時点で三嶋君と北野君が殺されてる。
トモダチ殺しは本当に始まってるんだ…」
人の死を目の当たりにして、香穂は涙目になりながらトモダチ殺しの恐ろしさを改めて痛感している。
「絶対に何かあるはずだよ、トモダチ殺しの謎を解かないと」
ガラガラ__
急に音楽室の扉が開いた。
私と香穂は息を殺してその場にとどまる。
トコ…トコ…トコ…
内ばきで廊下を歩く音が音楽室中に響き渡る。
誰なの…もしかして私たちを殺しに…
嫌な予感しかしない私は恐怖で震えてしまう。香穂も目を瞑って震えている。
そして、足音が私たちが隠れているすぐ側へやってきた。
もうダメだ…!
私は目をぎゅっと瞑る。
「…金井と山名?」
名前を呼ばれてゆっくりと目を開けると、そこにいたのは、少し息切れしている坂木君だった。
「二人ともここに逃げてきたんだ」
そう言いながら私たちの前に座る坂木君。
座ったときに坂木君の袖に血がついているのが見えた。
「坂木君!袖に血が…」
香穂は坂木君の腕を掴み、持っていたハンカチで血を拭き取ろうとする。
「あーさっき蓮と光輝触った時についた血だな。ごめんな山名、俺は大丈夫」
坂木君は血を拭きとっていた香穂の腕を優しく掴み、手間をかけさせるようなことはしないようにした。
「坂木君は一人で逃げてきたの?大丈夫だった?」
香穂は心配した表情で坂木君に問いかける。
「うん、1人で走ってきた。天野は光輝を殺しちゃったし、死ぬって言葉に今は動揺して狂ってると思うんだ」
「そうだよね、今の天野君は普段の天野君じゃない」
「金井と山名も無事でよかった、後のみんなもどこかに身を隠してと思うから。今廊下に出るのはかなりの危険だからね、しばらくここのいた方が安全だ」
坂木君の言った通り、私たちはしばらくここにいることにした。