新しい1日の始まりだ。


「陽菜ちゃん、おはよう」
「おはよ!」
「陽菜っぴ、おはー!」
「おはよう!」

朝の空気って、清々しい。伸びをしながら、自分の机に座っていると、クラスの女の子達に挨拶をされる。それも、清々しさを助長させていると思う。

「陽菜ー!」
「あ、葵っ!おはよ!」

顔を上げると満面の笑みを浮かべる葵。相変わらず動きが小動物みたい。

「ドキドキワクワクの1日が始まりましたね〜」
「ど、どういう意味?」
「またまたー、陽菜ったら」

朝から機嫌が良さそう。

「ミッションの始まりですね〜!」
「っ」

この子、完璧に面白がってるよ。

「まずはどうしますか、陽菜さん」
「どうしようも何も、あいつまだ来てないじゃん」

聖馬は確か、いつも遅刻スレスレで教室に来てるはず。

そう言うと、葵はさらにニヤーっと笑って、

「あれあれー?どうしてそんなこと知ってるのかな?」

と言った。

「いや、いつも遅刻スレスレって、だらしないなって思ってて」

ちょっとガッカリしたような表情で口を尖らす葵。

「理由が陽菜らしすぎだよ」
「はいはい、怒らないの」
「あれ、でももう少しでチャイムなるよね?」

私はぎょっとした顔で時計を見る。…ほんとだ。

「ああー私の生きがい増えたわー今107個目」
「多すぎでしょ!」

思わず突っ込んだ私の背後で、ガラガラ…とドアの開く音がした。

「おお!星馬、おはよ」
「佐方、今日も遅かったな」

ニヤニヤ度最高潮の葵に覗き込まれて私は沈没した。