ケータイ小説 野いちご

早く気づけよ、好きだって。


建物はとても古いけど、近くに駅やスーパーやコンビニもあって立地は最高にいい。

さらには、隣の部屋には頼れる幼なじみの須藤 蓮(すどう れん)が住んでいる。


蓮は基本的にはいい奴だけど——。


たまに面倒な時もある。

今日みたいに遅刻した日には、いつまでもぐちぐち言われるんだ。

まぁ、蓮が正しいことを言ってるのはわかってるんだけどね。

頭の回転が速くて、客観的に周りを見ている蓮の言うことはいつも正論で隙がない。

冷静に的確なことを言い、痛いところを突かれこともしばしば。


興味のないことにはとことん関心がなく、好きなものは好き、嫌いなものは嫌いといったはっきりした性格。

蓮は人当たりはいいから、人間関係においてトラブルはないけれど。

でも実は人当たりがいい時ほど、猫を被っていたりするんだよね。

スッキリした爽やかな蓮の笑顔に騙されている人は数知れず。


普段の蓮は口は悪いし、デリカシーのないことをズバズバ言う。


それは気心が知れた私に対してだけのものだから、心を許してくれているんだとは思う。

いざという時は助けてくれるし、ムカつく時もあるけど、でもまぁ嫌いじゃない。


「おい、こら。なに一人で行こうとしてんだよ」


「えー、蓮が遅いだけじゃん」


階段を下りていると、あっという間に蓮に追いつかれた。

蓮はスラッとしていて身長が高く、一五五センチの私には見上げないと蓮の顔が見えない。

中二までは同じくらいの身長だったのに、中三になってからぐんぐん伸びて、気づくとずいぶん差がついていた。

今では一七八センチなんだとか。

柔道部の蓮は体格も良くて、鍛え上げられた身体にはしっかりとした筋肉がついている。


サラサラのストレートの黒髪と、二重のキリッとした瞳に、シュッとした横顔。

眼鏡をかけていて爽やかな見た目の蓮は、身長が伸び始めた頃から男らしくなり、すごくモテるようになった。


頭もよくて、運動神経も抜群、おまけにイケメンと三拍子そろっている。


面倒見がよくて、知的で、頼れる存在。

蓮を知らない人からは、そんなフィルターがかかって見えている。

中学の時は生徒会長をしていたから、余計にそんなイメージが定着しているんじゃないかと思う。


優等生の蓮とこんな風に口ゲンカをしてじゃれ合うのは、幼なじみの私くらいだ。


生まれた時からずっと一緒で、お互いに一人っ子。さらには両親が共働きという環境まで同じで、小さい頃から兄妹みたいにして育ってきた。


< 2/ 246 >