「連絡先、教えてくださ〜い♡」


「読モとかやってそう……!」


「はは、ありがと」


ピンク色に染まった声に混ざって、どこかで聴いたことのある声が耳に届いた。


女子で構成される人だかりの中心、そこに何気なく視線をやった私は目を瞠った。


人だかりの中心になっていたのは──。


「明希ちゃん……」


思わずこぼれた私の微かな声を拾うように、明希ちゃんがこちらに視線を向けた。


「……ヒロ?」


なぜか問われて反射的に小さく頷くと、明希ちゃんが笑みを唇に乗せ、人だかりをかき分けて私の元へ駆け寄ってきた。


そして私の手首を掬うように握る。


「ごめん、連れが来たから」


握った手を見せながら涼やかに女の子たちにそう言って、手を引き歩き出す明希ちゃん。


「え?」