「敵はもうきた後。
すぐ逃げたからきっと手下だろうな、全然強くなかったし。
小野田がいるのは、慎也から電話きてもしものために送ってる途中に敵がきた。」
さらっと説明する上原に、須藤くんの驚いた表情は相変わらず変わらない。
「じゃあもしかして……小野田さんにバレたのか?」
「あぁ、完全にな。」
まだ須藤くんは信じられない、とでも言いたげな顔をしている。
ば、バレたって何が……?
さっきのこと、全部?
もうわけがわからない。
「おい、小野田。」
上原がいつもより低い声で私を呼ぶ。
もう頭はショート寸前で、逃げ出したくなって………
考えるよりも先に私の足は動いていた。
自分でも驚くくらいの速さで走った。
後ろから私の名前を叫ぶ上原の声が聞こえてきたけど気にせず、追いかけられないように……
複雑な道を通って遠回りしながら、私は家へと着いた。