彼との関係はあまりにも曖昧で確かなモノなんて何一つない。

それでも残酷なあの男は、都合の良い女として私を扱うのだろう。

何よりこの状況を許してしまっている自分自身が、一番の大馬鹿者なのは分かっているのに、彼を受け入れてしまっているのは、あの強烈な支配力を有する声の所為。

あの声には、決して逆らえない。

真っ直ぐと射抜く様な視線は私に決して、正常な思考を許さない。

気付けば、全てはあの男の思うがままに事が進められてしまうのだ。

今となっては五感さえも、彼の支配下において操られている様な感覚にさえ陥っている。

きっと彼は、体を重ねる度に少しずつ私を懐柔していたのだろう。

おかげで私の歯車は徐々に噛み合わなくなってしまった。