「……お姉ちゃんを殺すの、楽しかった?」


「っ! あ、ああ。楽しかったさ! 特に最後なんてあの絶望した顔が堪らなかった……!! あの表情は今でも頭から離れないよ!」



男はもうほとんどやけくそだった。
通常ならば声が出ず、立っていることすらも叶わないだろうが、この男は違う。修羅場をいつもくぐって来ていたから。“生き残って”いたから。

そして。

この幼女には適わない。

そう、理解していたから。



「ふざけないで! お姉ちゃんはボクの大事な物だったのに!!」


「……?」



パニックを通り越して、既に冷静になった男は、幼女の言い回しに疑問を覚えた。

幼女ははっと何かを思いついたかのような仕草をする。

果たしてそれが演技なのか否か。

確かなことは分からない。



「あなたがお姉ちゃんの代わりになってよ」


突然訳の分からないことを言われ、男は考えた。


(女、ましてや子供の代わりを男の俺にやらせる……?)


が、すぐにその疑問は打ち砕かれることになる。


幼女は妖艶に笑った。


幼女の顔は先程の人当たりの良い笑顔と違い、大人らしく、不気味で儚い。



「あーあ。---------------------。




---------」



男は愕然とした。




“狂っている”




幼女を一言で表すと、男は必然的にそう言うだろう。







「オジサン。ボクはね、








ヒト ノ ゼツボウ シタ カオ ガ ダイスキ ナンダァ」


「ひっ、あ"ぁ……」



まるで呪文のようなそれはするすると頭の中に入り、男の顔を再び強張らせていく。




幼女の眼が真っ赤に光った。




「command:sprit」