「それよりもメイベル、明日は一緒にマーグレーンへ行く日だったよね」

「あっ、うんっ!そうそう、校長先生から外出許可ももらったし、一緒に行こうよっ‼」



山の上に建つフォルスティア学園からバスでふもとまで降りて、そこから40分ほど揺られた先にあるマーグレーン街。

大都会へ向かう目的は、ルキの過去を知る人物を探すことだ。

いよいよ明日、ルキとふたりで外出できるんだ。

そんなことを思えばなんだかワクワクしてきて、ルキが手を抜いていたかどうかだなんてどうでもよくなった。



「実は俺、楽しみにしてたんだよな。マーグレーンは大都会だって聞いたから、どんな街なのかなって」



ルキの子供のような無邪気な笑顔に、どくん、と胸の鼓動が高く弾んだ。

直後に、どくん、どくんどくん…と、鼓動するテンポがだんだん速くなっていく。



「わっ……私もっ!ルキとマーグレーンに出かけることを楽しみにしてたのっ‼」

「じゃあ明日は、寝坊しないようにね」



銀色の優しい瞳に見つめられながら、ぽん、と頭に手を置かれたりなんかすれば。

熱くなりはじめた顔は、湯気が出ているんじゃないかって思うほど熱くなってきて。

このまま気絶してしまうんじゃないかってくらい、頭の中がルキでいっぱいになって、くらくらしてきた。



「じゃあね、また明日バス停で会おう」



寮の前まで一緒に歩いてきて、ルキが手を振りながら寮の中へ姿を消したあと、しばらくの間立ち尽くしていた。



「はぁ……かっこいいぃ…」

ルキが消えた寮の扉を、じっと見つめている私の目はハートマークになっているに違いない。