目の前の俊は頭を下げたままだった。
だがしばらく黙っていると顔を上げこう言った。
『お前の幸せを願っているこの先もずっと。だけど俺は側に居る資格がない。だから想うだけはさせてくれ。頼む。』
そして再び頭を深く下げた。
『好きだなんて言われて、母を奪った男の子どもだって言われて何がなんだかわからないよ。』
とにかく叫んだ。
声が割れて自分でもわからなくなるくらいの大声で。
『気づかせないでよ。私も好きだから、たぶんあの笑顔を見せられた日からずっとずっと好きだったんだから。』
もういいと全部言い切り、歩き出そうとしたんだ。