「う、嘘なの……!?」
「騙されやすいねー。こんなに席遠いのに、聞こえるわけないじゃん」
咲菜ちゃんは、サラサラのショートヘアを揺らして毒を吐く。
「焦ったぁ……。よかった」
「俺にはばっちり聞こえてたけど」
……んん?
隣から、低い声が挟まれる。
「お前、それでも女子かよ?」
そう言ってきたのは、私の隣の席の男の子。
橘蒼生(たちばなあおい)くんだ。
「ひ、ひど……っ」
「まっ、俺は隣の席だから仕方ねえな」
そうだよね、仕方ないよね……。
でも、よりによって橘くんに聞こえちゃうのは嫌だ…。
橘くんとは、高校2年生にあがって、隣の席になって…。
彼の恨みを買った覚えはないのだけれど、何かにつけてバカにしたりからかってきたりする。
ケータイ小説 野いちご
クールなキミが最近優しいワケ
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