「バカ……!バカバカバカ!
……いつからいたわけっ……」
「……ごめん、守ってやれなくて」
「っ、別に、郁也のせいじゃ、ないしっ……離してよー……っ」
「ああ……なんでもいいよ、もう、俺が抱きしめたいから抱きしめてんだ。……離さねえよ」
愛おしい。そんな感情持ったことないからよくわかんねえけど、多分そういった類のやつだとおもう。
いとしくて、たまらない。
ここにいる、この女の子が。
「ごめんな…」
それしか言ってやれない俺。ほんと、ばかだよ。俺ってほんとに、バカだ。
いたい、と言う林檎を離して、怪我をした場所に一瞬触れた。
赤くて、熱い。
ごめん。ほんとに、ごめんな。
林檎の腕に、そっと唇を落とした。