6歳のころから変わらない顔ぶればかりのクラスに、転校生がきたことは初めてだからか。

休み時間に入るたびに、ルキの周りには複数の男女が集まってくる。



「えっ、ルキくんって記憶喪失なの⁉」

「うん、そうだよ。だから自分のことは何も分からないんだ」

「うわぁ、大変だなぁそれは。俺でよければ、何でも相談してくれよ」



クラスメイトに囲まれ笑っているルキを、離れた席から眺めた。

私もルキと何か話したいけれど…。

クラスメイトたちをかき分けてまで、声をかけるっていうのも恥ずかしいし。



でも私もルキと話したいなぁなんて思いながら、人と人の隙間から見えるルキの横顔を、見つめることしかできなかった。



「……ねぇ、聞いてるメイベル?」

「えっ、あぁごめん、エイミー。何の話だっけ?」



っと、いけないいけない。

今はエイミーと、今日の放課後は何をして遊ぶのかを話している最中だったんだ。



慌ててルキから視線を移すと、

「あ、メイベルもルキくんに熱視線を送ってる〜」

視線が重なり合った瞬間に、エイミーはにやりと口角をつりあげた。



「熱視線って……べつにそんなんじゃないよ」

「ふーん、そう?私はてっきり、メイベルもルキくんのファンになったのかと思っちゃった」