クラスメイトたちは、その言葉を待ってましたとばかりに口々に歓声をあげた。



「やっぱりライザが言っていたとおりじゃん!本当に転校生だ!」

「確か銀髪の男の子だよね⁉」



騒がしい声に耳を傾けながら、ドアの方へ目をやると、縦長のすりガラスにはぼんやりと人影が見える。

ドアを隔てた向こう側に、ルキが立っているのだと思うと、穏やかだった心臓の鼓動がだんだん速くなってくる。



ルキのことだからきっと、かっこよく制服を着こなしているんだろうなぁ。

なんてにやにやしながら妄想を膨らませていると、ドアが静かにスライドした。



「入ってきていいぞ、ルキ・ヴィクトル」



ふくらはぎの長さまである黒いマントをなびかせながら、ルキが颯爽と教室に入ってきた。



……すごく、綺麗。

微笑みを浮かべる横顔も綺麗だけれど。

陽に照らされてきらきら輝いて見える銀髪も、息を呑むほど綺麗だった。



ルキを見た瞬間にそう思ったのは、きっと私だけではないはず。

騒がしかった教室が、一瞬にして静まり返ってしまったのは、つまりはそういうことだろう。



「彼の名はルキ・ヴィクトルだ。校長先生の親戚にあたる。今日からこの1年生のクラスは、女子7名、男子20名の計27名になるからな。皆、仲良くしてやってくれ」



カサエル先生の隣から、ルキが深々と頭を下げた。

「みんな、これからよろしくね」

ぱっとあげられた顔は、明るい笑顔で満たされていた。



そして私の胸はまた、ルキの笑顔に射抜かれるのであった。