「先生っ!大変なんですっ……!」



ルキの腕を掴んだまま走って走って…。

再び魔獣に遭遇することもなく、無事にフォルスティア学園にたどり着くことが出来た。



……のだが、見上げるほど大きな校門は、固く閉ざされていた。



しまった…。

フォルスティア学園の校門は、8時30分を過ぎたら、魔法の力により自動で閉まるということをすっかり忘れていた。



「どうしよう……学校に入れないよ」



黒い鉄製の校門の高さは10メートルほどあって、よじ登ることはできそうもない。

じゃあ学校をぐるりと取り囲む白い外壁を登る、というのも無理そうだ。

壁は校門よりもさらに高いのだから。



校門にへばりつくようにして中を伺っていると、

「魔法で開けることは出来ない?」

すぐ隣からルキが、私の顔を覗き込むようにして問いかけてきた。



「それは無理だよ。この校門は魔獣が入ってこられないように、校長先生が防衛魔法をつかって施錠しているの。もし開けるなら学園でいちばん魔力が高い校長先生の魔力よりも、さらに強い魔力をぶつけて結界を破るしかないよ」



防衛魔法とは、対象の人物だったり物だったり、その周りにぐるりとバリアを張る魔法だ。

バリアを張れば、魔獣はもちろん人もバリアを突破することができないんだ。



校長先生よりも強い魔力を持った先生や生徒もいないから、この校門は校長先生以外に誰にも開けることができない。

唯一開ける方法があるとするならば、校門の前をたまたま通った先生に、校長先生に開けてもらえるようお願いするしかないのだ。