「この様子だと考えてきてなかったのね」


隣の花音が、ため息をつく。


「いや、まず知らなかったよ!」


「心菜のお母さんなら納得。だけど、それよりも早く行ってあげたら?司会の人すごく困惑してるわよ」


花音の指さしている方を見ると司会の人がいた。


あ、ほんとだ!!オロオロしてる!見た目は厳しそうなのに。


早く行かなきゃ。


えーー。何言おう。緊張する。


え、ほんとに何いえばいいの⋯⋯


しかも、なんかザワザワしてるし。前に立ってるから視線を集めるのは仕方ないけどさ、なんかコソコソ話してる人沢山いてなんか怖い。


「えー、桜が舞う季節となりました。私たち新入生は⋯⋯」


桜が舞う季節って⋯⋯。


そりゃそうだよ、春だもん。


なんて、自分で自分の言葉にツッコミを入れながら言っていく。